キルギス⑨〜キルギス伝統医療の話
10月3日

夕方、何か面白いものを探しにマーケットにいこうとするとBikaがショッピングモールにいくというのでフリュと3人でモールへ出かけた。

モールの5階にはお土産もの屋さんがならんでいた。
革細工はやはり素晴らしいクオリティなのだけど、このモールの何件かはウールやフェルトの製品でも伝統的なものを現代風にアレンジした製品があって、なかなか洗練されたものが集まっているという印象だった。
僕は中国で帽子をなくしたので新しいツバ付きの帽子が欲しかった。日差しが強いところでは帽子がないとやはり辛い。

いいねー!可愛いねー!と僕とフリュはBikaの写真をとった。Bikaはイヤリングとカバンを買っていた。観光客だけでなく結構地元の人たちも買いにくるみたいだった。
そのあと「肉食いにいこうぜ!」という流れになった。


羊の肉をジャガイモと炒めたやつと餃子の皮の中にポテトが詰まってるやつ。
どっちもうまいんだよなー。ほんとキルギス住めるわー。
キルギスでは風邪をひいたりどこか悪くなると、まず羊の脂を溶かして悪い部分に塗り込むらしい。つい昨日もBikaのお姉さんがやっていたとかで、いまでも民間療法としてそういう方法が根付いているようだ。
伝統医のところにいくと、まず脈を見られて、心臓の音を診察される。Bikaが以前に具合が悪くなった時には「心臓の位置が少しずれている」と言われて、位置を治すためにまるでマットレスかのように足をもってバシっバシっと身体を揺さぶられたそうだ。
あとは色々な薬草をつかって病気を治したりする。伝統的なシャーマニズムもあるようだが、イスラム教の影響力が強いため、そういったものは禁じられているらしい。(どの程度、誰に禁じられているのか詳しいところはわからない。)
おもしろかったのは
『issykkulskiy.koren'. issykkul.root』
日本語でいししくイシシクル・ルートと発音できる植物の根に関する話だった。
この植物は猛毒らしく、普通に接種すると死ぬほどなのだが、適切に使うとガンに効くそうだ。Bikaのお父さんが肝臓ガンでもうもって二ヶ月と言われたときこの植物を使った治療をうけて、お父さんのガンはなんと治癒し、いまでも元気で暮らしているらしい。
さらに、このイシシクル・ルートは毒殺にもよく使われるらしいのだが。(毒殺によく使われる、っていう表現がもうおもろいけど、本とかにはよく出てくる話らしい)、
例えばAがBをイシシクル・ルートをつかって毒殺しようと、毎日少しずつその毒を食事にもっていたとする。
解毒薬は、Aの使っていたものすごく古い靴に熱湯を注ぎ、その成分をよく混ぜた(!)お湯を飲ませるといいんだとか。
うまく解毒できるとBの頭の上に青い『モヤモヤ』が浮かび出てくるらしい。

それは、、、えっと、幻覚という意味で?
そういうのが見えるの?と僕とフリュが聞くと、Bikaは本当に青いモヤモヤがでてくるのよ!見たことないけどそんなのキルギスじゃ有名な話よ!と言って笑った(・Д・)
イシシクル・ルートに関する話は多分に呪術的な要素も含んでいるようだ。どうやって作用していっているのか本当に興味深い。(オカルト的ではなく人類学的に)
ざっとGoogleで検索してみたが、イシシクル・ルートに関する情報はなさそうなのでこれはまた来年、医療人類学の勉強を始めたときに調べてみたい。
この日の夜、Davidはオシュの町にいってしまい、フリュも例の変なスペイン人と反りが合わないため宿を変えてしまった。
キルギスも明日で最後。