踊る髭の冒険

30歳を目前に仕事をやめて旅に出たナッカーサーが世界中放浪した果てにイギリスの大学院に留学するのかどうか、という毎日を綴るブログ。可能性迷子の毎日をお届けします。

医療現場の比較考察。そして親指王子。

5月3日。

パンパンホステルで今までの経験を色々まとめたり、だらだらしたり、ジャンプ合併号やん今週ないやんとか思ったりしていた。

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自分なりに今まで訪ねたり関わったりしてきた歯科系のボランティアについて特徴を書き出したりしてまとめてみた。写真はそのメモだが、僕の字は筋金入りで読みにくい(職場で怒られるくらい汚い)ので写真から貴重な情報が流出する心配はない。さすがのGoogle先生もお手上げである。


さて、冗談はさておき各団体についてその特徴、共通点を簡単に纏めていきたい。それから見えてくるものもあろうかと思う。


  1. Japan Dental mission
  2. OISDE
  3. Borderless dentist
  4. Mae tao clinic

コアとなるのは

・現地での歯科医療行為
・現地スタッフの教育
の各団体での捉え方。

以下に簡単に概要を見ていきたい。


1 JDM

【活動目的】無歯科医地区の為歯科医療を受ける機会に恵まれない島々での歯科医療診察並びにブラッシング指導。現地スタッフの育成と教育。その他文化交流。
【発足】1995年
【場所】フィリピン共和国 カオハガン島
ヴァヌアツ共和国 タンナ島

2 OISDE 歯科医学教育国際支援機構

【活動目的】その国の歯科医療を担う人材の育成。
【発足】1991年

3 Borderless dentist

【活動目的】ミャンマー難民における歯科保健医療状況の改善。現地スタッフの教育。
【発足】?
【場所】タイ Mae tao clinic 並びに 難民キャンプ

4 Mae tao clinic

【活動目的】ミャンマー難民の為の無料での医療の提供。
【発足】1989年
【場所】タイ Mae sot, Mae tao clinic
    

各団体の概要はHPを参考にさせて頂きました。


このように並べてみると、一口に「歯科医療のボランティア」と言っても様々な違いがあることがわかる。
もう少しつっこんで考えていきたい。以下は僕なりの分析で、稚拙な分析力はこれから大学院で伸ばしていくものとしてとりあえず纏めて形にしておきたい。


①JDM
JDMが赴くところには基本的に「歯科医療従事者のいない場所」。島に保健所みたいなところはあっても人手は多いとは言えず島民への「教育」は行えても継続して医療行為を行えるスタッフを育てることが困難。つまり人的資源がそこには無い。20年に渡って日本から歯科医師が現地に向かい年に3回、もしくは4回の医療援助を行っている。また早くから予防活動にも取り組み、グラスアイオノマーセメントでのシーラント処置等で長期的に見て残存歯を増やすことに成功している。(量的調査を行ったわけではないので、あくまで感覚として、若い世代に比較的虫歯が少なくなってきている)

この環境ではフィリピンもしくはヴァヌアツの法律に乗っ取ったライセンスのある歯科医師が島に住み着くようになり、そこへ教育を施していけるというのが理想的な方向か。フィリピンにおいては現在1名、島出身の若者が歯学部に通っているらしくさらなる活動に繋がることが予想される。
コミュニティに根付いたNGO団体といえると思う。

②OISDE
日本から歯科医師が現地に赴いて診療を行う、ということよりもむしろ「現地の教育を変え、人材を育てること」に重きを置いている。
団体の発足者がもともと日本の歯科大学関係者であり、カンボジアラオスともに現地の大学との繋がりから活動をはじめたことがこの方向性の元になっているように感じる。現地の大学との関係を大切にし、ラオスに置いては地方の医療格差を是正するためビエンチャン県にて「看護師に歯科医療技術を移転する」活動を行っており、またそれがラオス政府にモデルケースとして認められつつある。

他団体と決定的に違うのは国の大学や政府機関とコラボレーションしているところ。そして国単位での歯科医療の改善を目指しているとこかと思う。

③Borderless dentist
日本のDrが作った団体でありながらHPも英語であり、それが効果を発揮して世界各国から歯科医師が集まってきているのが日本のNGOとしては稀にみる状態だと思う。

ミャンマー難民における現状は複雑かつ特殊であり、「どの国にも属するのともできない人々」を対象とするため②のOISDEでいう国の教育機関にあたるものが存在せず、支援並びに現地スタッフの教育は困難を極めると思う。

後述するMae tao clinicにおいて「Medic」と呼ばれるミャンマー人の独自の医療スタッフが育てられており、そのスタッフが難民キャンプ並びにメータオ・クリニック内に置いて医療従事者として活動している。活動としてはMedicの医療技術を教育により高めることによりメータオ・クリニックでの医療の質を高めること。難民キャンプ内においてはフランス、ドイツの医療団体とのコラボレーションによる歯科治療。

いつ収束するか知れないミャンマー難民問題の中で「プライオリティが低い」ということで後回しにされがちな歯科医療を、積極的に治療に赴くことで普及させようとしている。

④Mae tao clinic
ミャンマー難民の為にDrシンシアが設立した無償の医療機関。内科、外科、眼科、産科、歯科など必要とされる基本的な医療がそろっている。教育機関としても機能しており、Health worker及びMedicと呼ばれる存在を独自に育てることで難民キャンプ、ミャンマー国内の医療にも貢献している。

歯科においてはスタッフが6人ほどおり殆ど抜歯主体の診療を行っている。

国家に属する機関ではなく「難民状態」の中に生まれた医療機関なので医療従事者に対するライセンス概念が薄い。タイ国内にありながらライセンスを持たない者の医療行為が認められているのは、国際社会からの批判をおそれて(少なくともタイ政府が医療従事者をそこに派遣することができない限り)黙認していることによると言われているようだ。

もし、朝鮮半島で戦争が起こって日本に難民が押し寄せたら、と考えると状況としてはわかりやすい気がする。



各団体について詳しく見てみたところで次に、考えられる「医療を受けれない(もしくは受けない)理由」をもとに、どのような解決策がNGOにできるのか考えていきたい。いまの僕の頭で考えつくことなので、これらは何処かの本に乗っている事実ではなく、誤解や間違いも含むことを前提で書き記すことをご容赦願いたい。

大きくわけて人が医療を受けることがことができない(もしくは受けない)理由は以下のように分けられると思う。

a.医療従事者がいない

b.お金がない

c.そもそも「疾病」や「治療」として捉えているものの枠組みが違う。

これらの原因は単独で影響を与えていることは少ないと思われ、それぞれが相互に組み合わさって「医療を受けられない」という状況が生まれているのではないだろうか。


aの場合

①JDM、③BD④Mae taoこれらの団体が行っている活動はこのカテゴリーに当てはまるかと思う。

②OISDEに関しては現在は教育を重きに置いているためどちらかとらいうと「現在いる医療従事者の質を高める」ことを目的にしていると僕は捉えている。

医療従事者がいないことで医療を受けれない人がいた場合、解決策としては実際に現地に医療従事者がゆくこと、さらに④Maetaoのように現地に病院を作ることが求められる。

さらに、NGOの活動ではないが国家的な政策まで範疇にいれるのであれば地方における医療格差を是正するため、地方で働く医療従事者の数を増やすような政策を組むことが求められる。そういう意味では②OISDEの行なっていることもここに含まれるかもしれない。


bの場合

医療を受けるお金がないという状況がどのような原因から来ているかによって解決策はことなるが、①JDMが行く無医島、②OISDEの取り組む中でのラオス、もしくはカンボジアの僻地にいる人々、は地理的条件からも現金収入は都市部と比べて少ないと考えられる。(もちろん①、②ともにお金がないことよりも医者がいないことが大きなファクターなのだが)

③④が対象とする難民は政治的状況から当然収入は少なく、むしろ難民キャンプ内ではビジネスができないため支援のみで日々を暮らしている人が多い。

難民、という状態はさておき、

貧困層に暮らしていることで医療を受けられないという人たちには昨日のブログでも少し触れた「マイクロ・ファイナンス」「マイクロ・インシュアランス」という仕組みが一つの道になるかもしれない。

詳しい説明は以下のリンクを参照だが、一言でいえば「貧困層向けの金融、保険商品」である。

マイクロファイナンス
http://www.planetfinance.or.jp/microfinance/


マイクロインシュアランス 
http://www.nli-research.co.jp/report/report/2010/03/repo1103-w.pdf

マイクロインシュアランス 損保ジャパン
http://www.sj-ri.co.jp/issue/quarterly/data/qt59-1.pdf

実質どれほどの効果があるのかはわからないがかなり面白い仕組みなので興味のある方は是非みてみてほしい。


cの場合

これは僕がフィリピンのシキホール島というところで経験したことが極端でわかりやすいと思うのだが、その島では治療の殆どを魔術師が行なっており人々はそれを信じていて近代医療を行う医師のところへはほとんどいかない。(島の中に病院はある。もちろん、状況によって人々は使い分けているとは思うが)


彼らにとっては歯周病で歯を失うこと「疾病」ではないし、すべからく入れ歯を入れることは「治療」ではない。

こういう文化背景をもつ地域は今でもたくさんあると思われ、これ程極端でなくても程度の差こそあれ、「痛くなければ病気ではない」という地域もかなり存在していると思う。

こういう文化的な背景がある場合、そこに僕たちの「近代医療」を持ち込むべきなのかは、一考の余地があることだと僕は考える。

歯科医療の目的が基本的に「健康で美味しくご飯が食べれる」ことだとして(審美領域の話はまた別で。考え出すと審美と機能美は繋がっていると思う部分もあるが)、魔術師にかかる人々に僕らが考える「健康で美味しくご飯が食べれる状態」がどれほど尊いかわかってもらい、疾病の原因を「呪い」や「超自然な何か」ではなく「細菌感染」と「炎症と力のかかり方」である、ということを理解してもらわなければ、なかなか住民たちは近代医療に心を開かないだろう。

しかしどのような文化も、そして医療も、常に姿を変えながら相互補完的に存在していると思えば、案外そういう場所にスパッと近代医療が入っていってもちょっとずつ受け入れられていくのかもしれない。


さて、もう考えながら書きすぎてしんどくなったのでこれくらいにしておこうと思うが、まあそんなことをしていたら5月3日はすんなり終わった。

こうして色々と考えてみるとと気づいたのだが、「医者は周りにいるけれど、お金がなくて医療を受けられない人」への医療支援というものを僕はまだ体験したことがない。そんなの都市部でありそうなのにな。そこにも目を向けていきたいと思う。




この日同室だった日本人の若者マサキが21歳で失恋からの初めての海外という、どこかで聞いたことのある逃避行をしていた。

「あたし、やっぱり先輩のこと好きじゃないと思うんで別れてください」

と彼女にふられて初めての1人旅にでた21歳の自分を僕は思い出していた。

あの一言から、俺の旅人としての人生が始まって、いまここにいることを思うと、ほんま何がどうなるかわからんばってん、自分も大いに旅を楽しむと良い!うん!若者!大志を抱け!



と話をしていた矢先に

「兄さん!いま浮かれてて階段でこけて親指が変な方向に!」

((((;゚Д゚)))))))マサキッ!!


確実に変な方向に曲がった右の親指。

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「これでさっき話してたバンコクのすごい綺麗な病院いけるな」と以前僕が下痢でお世話になったBNHhospitalを勧めておきました。

そのフレッシュさが欲しい!とおっさんは思います。


1日の終わりにいい笑いを(笑えないが)ありがとう、マサキ。