踊る髭の冒険

30歳を目前に仕事をやめて旅に出た髭の人が世界中放浪した果てに結局海外大学院留学せずに帰国→家族でベトナム ハノイ移住→その後ドイツで大学院卒業→現在はカンボジアでのらくら。

イタリア ローマ編③ 〜子連れでバチカン美術館

バチカン市国

小学生の頃、「世界で1番小さな国」ということでドキワクした名前。0.44平方キロメートルという大きさがどんなもんなのか、あの頃は実感がなかったけれど、いま調べてみるとディズニーシーとかユニバ(大阪)とざっくり同じくらいの大きさらしい。意外と大きいな?と思うのは僕だけだろうか。

 

歩いていて「どっからがバチカンなのか?」全然わからなかったけど、国全体が世界遺産で観光客が入れるのは美術館とか、大聖堂の周りだけなんだって。

 

宿からは20分くらいの道のり。

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バチカン広場は大きな石柱に囲まれた広場で、青空がぬけて広がっていてとても良い。

こどもも走り回れるし、鳩をみてはしゃいでいて天気に恵まれたことをとっても感謝した。(ロスバゲはしたけど。)

 

長女は一度抱っこするとずっと抱っこちゃんになってしまって、gb君にはなかなか乗ってくれない。割と体力に自信のある方だとはいえ、12kgを常に抱えて歩くのはつらい。これからもっと大きくなると思うと肩も頭もめちゃ痛い。

 

バチカン美術館は、混んでる事を見越して事前にネット予約していったけれど結論、オフシーズンは別に予約いらない雰囲気でした。入り口に数人並んでいるだけだった。

しかし、ネット予約すると4€別に費用がかかるのはいったいなんの費用なんだか…チケット売る人件費削減できてるんだから逆にフツーは安くなるのでは?と思うのだけど、よくわからない。

 

さて、まったく下調べもせずに向かったバチカン美術館。子連れ美術館には良い思い出がなかったのだけど、タイミング良く長女が眠ってくれたので、ひとまず騒がしくない感じではまわれました!

 

宗教画ばかりが続いて、最初は「あー」といった感じで流してみていたけれど(背景がわからないから、正直よくわからない)奥に歩いていくごとに、徐々に空間に引き込まれる自分がいた。


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ひとつひとつの絵画や美術品ももちろん価値はあるだろうけど、僕が感動したのはそれを包括したバチカンの空間演出だった。

建物のなかから外の景色までもはや「景観」と呼べるような空気感の統一。カトリックの総本山として、歴史を紡ぐ場所として、価値観を守って来た場所として、そこにたたずむ荘厳な空気感は圧倒的だった。人類が到達した1つの「価値」の到達点。世界一周中にこれに触れていたなら、またそれからの人生が変わったものになっていたかもしれないと思った。

 

gb君の上で眠っている娘を妻に預けて、しばらく息子を抱っこしながらバチカン美術館内をうろうろ。そのときにふと思い出したのはランドスケープ・アーティストのハナムラ・チカヒロさんの言葉だった。

 

『圧倒的なものの前では、誰もが等しく人間になる』

 

5年以上まえにハナムラさんの講演を大阪で聞いたのを覚えているが、これは芸術の(ああとの)もつ大きな役割だと感じている。

ハナムラさんに興味をもったのは医療現場でのアートの実践についてなのだけど、視点がとても面白いので是非みてみてほしい。↓

まなざしが変われば、風景も変わる。ハナムラチカヒロさんが提唱する"まなざしのデザイン"とは [マイプロSHOWCASE関西編] | greenz.jp グリーンズ

 

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ぐるぐるぐるぐる、何を見るでもなく探索していると、もとの場所に戻れなくなってきた。

「広い‥」

そう妻にラインで呟きながら僕はそろそろ帰ろうと思うのだが一向に道がわからない。地図ももっていないので、なんとなく標識のあるほうにつられて歩いてゆく。息子が重い。はよかえりたい。

 

導かれるまま歩いてゆくと奥まった階段にたどり着いた。降りて行って良い雰囲気だったので足早に階段をおりていく。

 

二階くらい降りて扉をぬけると、大きく開けた空間にでた。重く静かな空気の流れるその部屋に入った途端に「何か重要な場所なのだろう」とぼくは悟った。そこにはたくさんの人がいたが、皆一心に壁画に目をやり静かに感動しているようだった。

 

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はからずも、写真赤丸部からの登場となった僕はめっちゃ見られた。みんながみつめる壁画の右下からアジア人がひょっこりでてきたんだからそりゃあね。

 

視線を避けながら、人のなかに紛れ振り返った僕は壁画の全貌をみた。

 

それはジョジョ風にいう、「時を超えたスタンド」だった。

 

前情報全くなしでこれに触れて、それでも圧倒されるのだからこの作品のもつエネルギーは計り知れない。

 

あとでネットで調べて知ったのだけど、ここがシスティーナ礼拝堂という極めて有名な場所らしい。

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そして壁画(フレスコ画)は、ミケランジェロの「最後の審判」。

(画像は公式ホームページから) 

絵画には詳しくないので作品についてはこちらから。詳しくなくても凄みがあるのが伝わってくる作品でした。(知ればなお深みがある!)

↓↓

 【神】何がどう凄い?!システィーナ礼拝堂の「最後の審判」【ミケランジェロ】 

しばらく息子を抱えながら、呆然と立ち尽くしてその場にひたっていた。多くの聖地がそうであるように、ここも、たくさんの人がいてもかき消されない静かさが流れている。

 

 

「いや〜、すごい場所あったわー」

と迷いに迷ったすえに妻のもとに帰り着くと、娘は目をさましていて、すっきりご機嫌状態たった。

 

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帰り道、青空に飛行機雲がかかっていた。

ぼくらの暮らすベトナムハノイは大気汚染が深刻で青空が見えることは少ない。

 

「空ってこんなに青かってんなあ、、」と2人でしみじみ。

 

 

宿に帰りつくと、まだ荷物は届いていないとのことでがっくり。

「やはり洗濯‥するしかない!」

とぼくらはホテルの部屋で自分たちの服をゴシゴシ手洗いし、部屋干しでなんとかしのぐことになったのでした、、、

妻の手洗いスキルが圧巻。

乾燥した空気が唯一の救い。

 

 

15時間のフライトからのロスバゲ、バチカン巡りと、この日は疲れていて夜ご飯もその辺のスーパーで適当に買って部屋で食べて就寝。

 

明日はコロッセオだけど、それはともかく

荷物届くかなぁ〜