インカ・トレイル① チーム『セクシー・プーマズ』が行く。
早朝。
昨日の前日会議で6時集合だと言われたものの、遅刻したくない一心で早起きしすぎて5時過ぎには集合場所のホテルについてしまった。
寒い中道端に腰掛けていると、白タクが僕を見つけてはクラクションを鳴らす。清掃のおばちゃんが不思議そうな顔で僕をみたりする。クスコの町は治安が歩くないのでこの時間に出歩いていても大丈夫だが、たまに「ハッパ?!ハッパ?!ニホンジン、ハッパ?!」とやたらラリって絡んでくるやつもいるのでその辺は一応注意だ。
6時に集合し、車に乗り込み1時間程かけてインカ・トレイルの出発地点へ。
車の中で自己紹介。まずガイドのホセ。ペルー生まれのペルー人で英語を流暢に話すナイスミドル。そして、4人のグループメンバーの内、僕以外の3人はアメリカ人。
紅一点のカトリーナ。NYやシカゴで芝居や舞台のマネジメントをしている。マラソンとディズニーが大好き。明るくていつでも楽しそう。このチームのムードメーカーだった。
歳が近かったカイル。シアトル出身で飛行機のデザインをする仕事をしてた。いま気づいたけどそれって「風邪立ちぬ」の主人公と一緒やな。(どうでもいいか)体力あってクールな男。
そしてパブロ。プロカメラマンでチーム最年長。もうすぐ50歳になる明るい黒人紳士。いっつもテントで一緒になってテントの中でも色んな話をしてた。
今回はそこに日本人の僕が加わる5人チームだったのだけど、普段は15人とかのチームが多いらしくその点少人数だったので僕らはラッキーだった。

出発地点近くの売店で買い物をして朝食をとる。トレッキングに必要なもの(レインポンチョとかサングラスとか)で足らないものがあればここで補充できる。

ガイドのホセがMagic waterと呼んでいた謎の液体。ハーブか何かでつくったアルコール??で手に出してパンパンッと叩くとすぐに揮発する。それを吸い込むと咳き込むくらい鼻が通るようになり、山登りもスーイスイという、まあ、やはり謎の液体なのである。でも面白いので一個購入。あと、コカの葉とかも売ってます。

インカ・トレイルの入場口近くへ移動し、レンタルでトレッキング・ポールを借りて装備を整える。

ゲート前で記念撮影。この後パスポートチェックがあって、そこからインカ・トレイルが始まります。

目の前に突然広がる壮大な山の風景、圧倒される。左に見える道をずーっと歩いていく。
ガイドのホセから「インカ・トレイルは競争じゃない。ゆっくり楽しんで歩いてください」と説明があった。ここはまだまだ標高が低い(といっても2000mくらいはあるのだけど)ので大丈夫だが、明日登る山は4200mと富士山よりも600mも高いので急いだりすると高山病になってしまう。ゆっくり順応していかないと。


サボテンの実を売る少女。昔パレスチナでサボテンの実を食べさせてもらったことがあるけど、ここのはすごくジューシーで甘くて美味しかった。
ホセは所々で立ち止まって説明を入れる。
「見てみろ。このサボテンの裏側についている白っぽい塊、これがなんだかわかるか?」
彼はサボテンから、1cmくらいの大きさのそれを幾つかとって手のひらに乗せた。

僕らがなんだろう、とぽかんとしているとホセは掌の上でそれを潰し始めた。

真っ赤に染まる手のひら。
「これはコチニールといって、口紅なんかの色素につかわれている『虫』なんだ」
むし( ;´Д`)!!
4人はあんぐりしたが、はるか昔からこのむしは赤の染料に使われてきておりいまでも使用され続けているらしい。
「昔のインディオはこれを顔に塗って戦ったもんだ」
そういうホセが半ば無理やり僕らの顔にぬりぬりするもんだから。。。やっぱ虫ってわかってたら嫌なもんだなあ。。

というわけでこんな感じになり、一行は先へ。
「チームの結束力を高める為に、何かチーム名をつけるべきよ!」とはしゃぐので、皆んなで色々と考えた結果ホセのfamily nameであるPumaをとって、僕らは『Sexy Pumas』と名乗ることになった!
「ウィーアー!セクシーィィープーマーーー!」
となんかある度に掛け声をかける。
「まあ、私がプーマで…、カイルは飛行機のデザインやってるから『コンドル』ね。パブロはどうみても熊。『スペクタクル・ベアー』と名乗っていいわ。髭は…そうね『ヘビ』なんかどうかしら」
( ;´Д`)
カトリーナ姉さんに戦隊ものさながらのキャラわけをごり押しされ、『ヘビ』に任命された僕。なんでそんなイメージなんや…!と思いながらも意外とすんなり受け入れる自分。

1日午前に3〜4時間、昼食をとって午後にも同じくらい歩くという日程で結構きついのだけど景色は本当に素晴らしい。

ご飯はポーターの中にシェフがいて彼が作ってくれるのだが、彼の料理が南米で食べた物のなかでダントツ1番美味かった!食べ物やテント、20kgを超える荷物を運んで僕らの何倍も早く歩いていくポーターさんたち。尊敬です。

山を越え、川を越え。歩き続けます。初日はそこまで辛くない。

夕方、キャンプサイトに到着。
ポーターさん達がお湯を沸かしてくれたり、コカ茶をいれてくれたり…必要なことは全部やってくれるので僕らはテントで寛ぐだけ。

ひとりにつき9kgまで荷物をもってくれるポーターを雇える。旅先で出会った若い旅人は「個人で雇うポーターなんていらないよー」と言っていたけど僕は雇ったほうがいいと思う。大荷物でインカ・トレイルをいくのは結構きつい。
ポーターの皆さんには感謝。

美味しい晩御飯をいただいて、明日の説明を聞いて就寝。
2日目は「チャレンジング・デイ」らしく4200mを越えないといけなかったりとかなりハードになりそう。
寝袋とマットレスでも意外と寒くもなく、僕ら「セクシー・プーマズ」はぐっすり眠ることができた。
②へ続く。