東チベット〜ルーフォー①〜
9月17日①
朝一のバスでルーフォーにむかう。
だいたい6時間くらいのバスだと予想していたので、高山病の薬ダイアモックスの副作用でもともとの頻尿をさらに促進されているShingoは最終兵器「おむつ」を装着しているようだ。
僕は尿意と戦える気がしないうえに、リーサルウェポンを装着する気にもなれなかったのでダイアモックスは服用せずにおいた。
かなりの悪路を予想していたのだけど、バスも立派な観光バスだったし道もそこまで揺れず、5時間くらいでルーフォーの町に着いた。
この町辺りから、建物の作りがかわってくる。
ログハウスのようなかたちの赤い家になって、なんだかかわいい。
このまま次の町にいくか、この町で一泊するか僕らは決めていなかったのだけどなんとなく町の雰囲気や景色がいいのでこの町で一泊することにした。
とりあえず食堂に入って昼飯を食う。
「えっと、、、じゃあこれとこれと、これと、、、」
とShingoはメニューを見て料理を選ぶのだけどなんだか様子がおかしく、朦朧としている。
「おいおい、大丈夫か?」
と聞くものの本人は平気だといいながら、かなり大量に料理をオーダーしている´д` ;
ちょっwたのみすぎwと突っ込む暇もなくオーダーは通ってしまいこの日の昼飯は中国で一番高い昼飯になった。まあ美味かったけどもね。。。
「いやー!俺あの時、朦朧としてたわー!」
後で町を歩きながらShingoはいう。せやと思ったわ!酸素が薄いとこにくると、しらない間に判断能力が低下する。しばらくすると順応するようだけど、気をつけないと怖いっすね(´Д` )
宿はバスターミナルの近くでみつけた。
World wide wave からはもう人間は逃げられへんねんなあーーーー
2人で180元。
いい部屋だったんだけど、洗面台が水を流すと足元から水が漏れてきて足が思いっきり濡れる。
ルーフォーの町は、ここ最近綺麗に整備されたようで、ものすごく綺麗で、景色もよくていい町だった。舗装された道路もずっと続いていて、チベット風の新しい建物がいまも新しく建てられている。
中国のこの辺りを歩いて思うのは、もう「シムシティかよ!」ってくらい町一個まるごといままさに整備して建設ラッシュ真っ只中だということ。
少し裏路地にいったり、中心地から離れると、と建設中の建物や道路が沢山ある。
つーかこの勢いで建築ラッシュできる中国ほんまバブリーだなー。
大通りを歩いていると、スクラッチみたいなクジに熱狂している人々をみかけた。
僧侶のおっちゃんも楽しそうにスクラッチしていた。おいおいー!めっちゃ執着やん(´Д` )!
町の大通りからから見える丘のうえにお寺が見えて、とりあえずそこを
目指して歩いた。
マニ車には上の方に鈴がついていて、一周する度に「チリン」と音がする。
沢山のマニ車が同時に回って、鈴の音が重なって奏でられる音は、穏やかで優しくて、僕たちはそばに腰掛けてしばらく聞き入ってしまった。
気持ちのいい風が吹き抜けていく。真剣に何周も何周もマニ車をまわすおばあちゃん。
タシデレ、と挨拶すると笑顔で返してくれる人々。一緒に回して歩こう、おいで、と誘ってくれる人。
なんて心地の良い空気なんだろう。
おそらく毎日、何年も、何百年も、それ以上に続いてきた人々の日常に僕たちはそっと座り込んで、しばらくその空気に浸っていた。
丘を登りきったあたりで自分たちが目的にしていた寺を見失っていることに気づく。
だいたいこの2人はいつもそんな感じなのだ。歩いている間に最初の目的地はどうでもよくなってしまったりする。
さっき一緒に歩こう、と手招きしてくれた女の子が少し丘の上を歩いていたので、僕らはなんとなくその子たちの方へ歩いていった。
しばらく歩くと道は終わっていて、ふと見上げると女の子は右上の山肌を登っていた。
彼女は僕らを見つけると手招きして「上がっておいで」という。他にも孫たちを連れたおばあちゃんがその道を登っていて、僕らは特にいくあてもないので彼女の呼ぶ方へと登っていった。
登るのは結構きついのだけど、見渡せばそれはもう絶景で、本当に見晴らしがいい。
「うつくし山やなー!」
と無駄に僕らは叫ぶ。もうほんとにうつくしやまなんだよ!
抜群に景色がいいなかで一緒にあるく子どもたちとじゃれる。なんでもない触れ合いなんだけどこういうのが案外忘れられずにずっと頭に残るシーンになったりする。
(お尻に穴が空いた中国式こどもズボンが特に忘れられない。)
山を登りきって抜群に景色は良かったのだけど、お寺はやはりなくて、どうやらあの女の子はこの丘の上の集落の外周をぐるっと一周しているだけのようだった。
頂上を越えて降り始めたあたりで女の子は僕らに話しかけてきた。
Shingoがしばらく中国語で話して僕らが日本人だとわかると、彼女はどこかに電話をかけて、自分の電話を僕に渡した。電話の向こうでは「Hello」と英語で誰かが話していた。