これを聞くとあー、イスラムの国に来たなー、という気分になる。街全体に聞こえる大きな音で祈りの時間を告げる。
日に5回、必ず祈りの時間にはこれが流れる。(KLではなかったかな?)
10時ごろにもぞもぞ起きて、Kamaralに「あのアザーンの時って、みんな起きてんの?」と聞くと「もちろん、ま、僕はもう一回寝るけどね!」と彼。
ムスリムの家に泊めてもらったのはこれが始めてではないけれど、どうしても今まで解決できてない疑問があって、僕はKamaralに思い切って聞いてみたかった。
「なあKamaral、イスラム式のトイレってどうやって使うのが正しいの?」
そう僕はイスラムの国々を旅した経験があるものの、どうやってそのトイレを使ってよいかわからず、いつも持ち歩いているトイレットペーパーで後処理を済ませていたのだ。
(ここから先はトイレの話に深く切り込むので、苦手な方や、お食事中の方はご遠慮願います。)
イランにいったときも、イラン人の友達が女の子だったため、聞いてはみたものの、なんだかお互い気恥ずかしい感じになってしまい具体的によくわからなかったのである。
ネットで調べたこともあるが、いまいち的を得ずまあ、ペーパーでもなんとかなるしいいや、と放っていたのだ。
今こそこの未知の扉を開ける時!

僕が知っていたのは
・イスラム式トイレでは顔は扉の方をむいて、お尻を扉の方じゃない方向に向けて用を足します。(日本と逆)
・イスラム式トイレでは後処理に水を使います。
の2点。
僕が詳しく知りたいのは「どうやって後処理を水でするのか」だ。
よし!と
Kamaralはまず日本でいう「うんこ座り」をしてみせた。
英語ではスクワット・スタイルというらしく仕切りにスクワット!スクワット!という彼をみて何がスクワットやねん、と心の中でつっこんでにやけながら僕は真剣に彼の話を聞いた。
「まずイスラムの全ての基本は、清潔さだ。用を足す前に必ず、タオルで頭を覆う。用を足したら匂いが髪につくからね」
「ほんまかいな!」
と僕は声にだしてつっこんだ。ほんとだよ、と彼。トイレいったあと髪臭くなっちゃうよ。
考えたことなかったなあ。
そう思いながら僕は言われるがまま頭にタオルを巻いた。

朝のお通じがまあまあ限界に迫っている。はよ肝心なとこ教えてくれ。
「次に、服はぬいで全裸になる」
うそつけ!
また僕は声にだしてつっこんだ。
ほんでスクワット・スタイルになって、物は必ず穴におとすこと!
そのあとは…
そこが大事なやつや!
「右手で桶に貯めてる水を救って、こう、前の方からじゃばーっと。あ、必ず左手でおしりさわってね!石鹸置いてるから!」
つまりそれはやはり素手でいくのだな?
右手は飯食う方だから左手な?
こう!こうな!とKamaralは手の動きまでジェスチャーで教えてくれる。
で、あとは頭に巻いてたタオルで水をふいておしまいさ!な、スーパークリーンだろ!
説明を終えたKamaral様は非常に爽やかな顔をしておられます。
スーパークリーンかどうか、とりあえず限界だからいってまいる!
僕はトイレのまえで頭に巻いたタオル以外一糸纏わぬ姿になり、入り口の方に顔を向けて座った。
出すとこまではいい。
問題は後処理や。
右手で桶の水をくむ。で、前からじゃばーっと。
これは!意外と気持ちいい。
暑い国やとさっぱりするな!
考えて見ると全裸でトイレいくってそれだけで爽快かもしれん!
始めて用を足したあとの自分のおしりを素手で触った「ぷにっ」という感触と、トイレ周りがびしゃびしゃになること以外は、僕はわりとポジティブな感想を持った。
おしり用石鹸は使ったけど、そのあともう一回念入りに手は洗っておいた。
「やり終えたぜ…」
僕は誇らしげにKamaralに親指を立てた。
ひとっぷろ浴びたような爽快感。
トイレの使い方を共有できて喜ぶ2人の男子。
世界は今日もかくも平和である。
「でもさ、公衆トイレとかにホースついてるでしょ?あれはどうつかうの?」

「あれ水圧強すぎて、一回トライしたけどどうやって使うかわからなかったんだけども」
「うん!あれはな、こう、前から後ろに向けて局部に発射する!」
「飛び散るやん」
「大丈夫!全部飛んでく」
「ちがうちがう!飛んでいった先が汚いやん!」
「うーん!大丈夫!」
( ゚д゚)
こうしてスーパークリーンなイスラム式トイレ講座を終え、長年の疑問を解決した僕は、Kamaralと共にマラッカ観光に出かけたのだった。
(たぶん、ホースもちゃんとした方法があると思う。決してイスラム式トイレを馬鹿にしたり批判しているわけではありませんよ。)