踊る髭の冒険

30歳を目前に仕事をやめて旅に出た髭の人が世界中放浪した果てに結局海外大学院留学せずに帰国→家族でベトナム ハノイ移住→その後ドイツで大学院卒業→現在はカンボジアでのらくら。

タイの伝統医療。

4月21日

6:30起床。NGO団体への返信、フィリピンの学校への連絡を済ませて少し勉強。
お腹は今だに下している。
マレーシアから薬学部を卒業した女の子達が5人で旅行に来ていて彼女らと話していた。

9:00
今日こそは観光しようとワット・ポーという横に寝ている黄金のブッタがいるお寺を目指す。

意外と近くて宿の隣の駅から船で20分くらい。

f:id:nacarthur:20180104190944j:plain



これです!でかい!


f:id:nacarthur:20180104190959j:plain


足の裏と指のデザインがいい。

f:id:nacarthur:20180104191011j:plain


螺髪(髪の毛)がすげええええ。

いやー、これは一瞬でも見に行く価値ある。

しかし、僕がワット・ポーに来たかった1番の理由は他にありました。

タイの伝統医療についてのwebに落ちていた日本語の論文を読んでいて、なんとこのワット・ポーという寺院こそがタイの伝統医療の総本山だということを知ったのです。

グローバル化時代に伝統医療が直面する課題~タイ式医療の誕生と知的財産権の拡大を手がかりとして~」
http://www.waseda.jp/sports/supoken/research/2009_2/5008A024.pdf
(webで誰でも見れる状態であったのだけどリンク貼ってもいいものなんだろうか?問題があれば削除します。)

すごく分かり易い内容なので、興味のある方はどうぞ。


まだ2節までしか読んでいませんが、この論文から得た知識を簡単にまとめると

• タイの医療は三つのカテゴリーに分けられる。近代医療、伝統医療(王宮に代々伝わってきた医療で、仏陀の主治医であった医師を祖とする。ルーシーダットン、マッサージ、薬学などで構成され、現在でもライセンス制度があり勉強後に国家試験もある)、土着の医療(民間の人々の中で口伝で受け継がれてきた医療。土地によって内容が様々で呪術的なものも多い)の三つ。これらは相互補完的に存在している。
• 伝統医療を学べる学校が今でもあり、色々な歴史の流れの中で国王はワット・ポー寺院にその知識を集めた。ルーシーダットンと呼ばれる(もともとは僧侶などの修行者が瞑想や修行で疲れた身体を癒すために編み出したといわれる色々なポーズ。根本的に健康をもとめる為に行うインドのヨーガとはここが違う。)様々なポーズを彫刻した像をワット・ポー内につくり庶民の誰でもそれらに触れれるようにした。
• 現在、タイ式医療と呼ばれるものは西洋医療や伝統医療の他にも土着の医療も含んで行こうとする流れがあるが、その背景にはグローバル化する世界の中で各国が自国の文化の知的財産権を意識し始めたことが背景にあり、また同時にルーシーダットンやヨーガ、その他の伝統医療を行う人たちからもその保護を求める声があがっていることがある。

こんな感じ。

すっごくかいつまんでいうと、「タイでは自分の国の文化(伝統医療)を他の国に商品化されない為に伝統医療を制度として認めていて、その総本山のtraditional medical schoolがワットポー寺院にあります」ってこと。ここでは外国人向けのコースもあってタイの伝統医療をまなべるのだとか。

僕がびっくりしたのは、マッサージも「医療」なんだということ。タイマッサージは日本ではリラクゼーションのものとされているイメージしかなくて、むしろどこのタイマッサージ屋でも「医療行為ではありません。」と標榜している気がする。(そんなにいったことないけど。) まあつまりこれは日本では『医療』の制度の枠組みの中には入らないということで、文化が違えば『医療』とされることの範囲が変わることのいい例だと思う。

 

f:id:nacarthur:20180104191103j:plain

さて、ワット・ポー内を歩き回ります。
何処かにマッサージ処があるはず。

f:id:nacarthur:20180104191119j:plain


ありました!
見かけはこんな感じ。伝統医療の学校自体はどこにあるのかわからなかったけど、せっかく来たからフットマッサージをら受けることに。30分1000円くらい。

f:id:nacarthur:20180104191139j:plain


中の様子。リラックスできるムードです。でもどこか医療行為、という雰囲気もあります。

隣の建物でお金を支払っめと胸に「Traditional medical school」のマークがある人に連れられて移動する。やっぱり学校の人がやってくれるんだなーとわくわくする。ちゃんとライセンス持ってるってことだもんね(生徒さんかもだけど)



f:id:nacarthur:20180104191205j:plain

すごい。
いやね、そんなにマッサージを沢山受けた事があるわけじゃないよ。でもね、これはね本当にもう別の宇宙の技術なんじゃないかってくらい気持ちがいい。

実際タイ伝統医療のマッサージの中ではマッサージに使うツボを学ぶらしく、「日本のマッサージはいったいなんなんだ!」と思うくらい的確、そして力も絶妙。

自分も身体を触る仕事だからわかるけど、人体の構造をちゃんと勉強した人は触り方が違う。筋肉の走行とか靭帯の位置とかわかって触ってるのがわかる。

成る程、ただリラクゼーションを行っている日本のマッサージとは一線を画す。これは体系的な知識と技術に裏付けられたものだ。

医療というからには治癒効果がないといけないのだがルーシーダットンの教えの中には「慢性的な病気を対象にする」ともかかれているらしく、一回マッサージを受けたから劇的に下痢が治ったりはしないのであろう。

そう、きっと下痢は治ったりはしない。


実際にタイの「伝統医療」の実感を感じることが出来てよかった。
バンコク市内には無数のマッサージ屋さんがあるが観光客向けで果たして彼らが伝統医のライセンスを所持しているかどうかは定かではない。

もしタイの伝統医療に触れたければワット・ポー寺院にあるマッサージへ行かれるのがいいかも知れない。少なくともそこではタイ王宮に伝わってきた正当な技術をもつ人たちが施術を行っているようだ。

 


ただ、やっぱりお腹は治らないので僕は明日西洋近代医療に頼って病院へ行くことにしました。

グットラック俺の胃腸!
くすりくださいっ!