踊る髭の冒険

30歳を目前に仕事をやめて旅に出た髭の人が世界中放浪した果てに結局海外大学院留学せずに帰国→家族でベトナム ハノイ移住→その後ドイツで大学院卒業→現在はカンボジアでのらくら。

きょう、飛行機に乗れませんでした。〜サウジアラビアの受難③〜

「2日…」

そうサウジアラビアエアーは毎日NY行きの便があるわけではない。いくらなんでも、2日半もこの狭いトランジットラウンジに閉じ込められているのは辛い。

他のエアラインでいいから、とりあえず今日出たい。なるべく安いやつがいい。

僕はそれだけ伝えた。とりあえずトランジットラウンジからも追い出され、出国ゲート横の椅子に座って待てと支持された。

しばらくするとボスメガネが来て「エディハド航空なら今日の17:00ごろの便でドバイ経由でNYへいける。これならトランジットも5時間くらい。費用は700ドルくらいだ。希望するならカタールもあるが、そっちはドーハでのトランジットが11時間だ。」といった。

その時だいたい10時ごろだったので、待ち時間を考えると、ドーハで11時間待つのはもう苦痛を超えて修行のように思えた。いくら僕がドMだといっても、流石に合計30時間以上も空港だけにいるのは、ぶっちゃけ辛いというか泣ける。

もうそのエディハドでいいからチケット取ってくれ、と伝えるとボスメガネはアブドラに何か指示を出して去っていった。



1時間、アブドラは動かない。
なんかフラフラ歩いてるだけで一向にチケットなんて買いにいく気配もない。
たまに僕が声をかけにいって、チケットどうなってる?と身振り手振りで聞くのだが、顔を横に振って深いため息をついたり、落ち着けおちつけーと僕にニコッと謎の笑顔を向けたりする。

こいつ…っ!やる気がないな!


とりあえず待ってみるも2時間経っても状況はなにも変わらず、僕はさっきのボスメガネのいたラウンジの扉を叩いた。

奥から彼が歩いてきて
「どうした。チケットは手に入ったか?」と聞く。

あんたのとこのあの男が全く動かないんだよーーぉぉ!もう2時間待ってんだ!!
僕が半泣きで訴えると、ボスは足早にアブドラを探し始めた。だがアブドラはいない。どこかをフラフラしている。

ボスメガネはため息をついて、僕を見て「ついてこい」と出国ゲートに向かった。

なんと彼がいると殆ど顔パスで、パスポートを預けるだけで僕はサウジアラビア国内に入国できた。そのままボスは僕をチケット売り場まで連れて行く。

売り場の兄ちゃんは寝てんのかと思う程やる気がなく、クレジットカードを読み取る機会が壊れていて、キャッシュをおろしてこいと言われる。

僕とボスはまた来た道を引き返し、サウジアラビアのお金をキャッシング。

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ようやく、僕はNY行きの新しいチケットを手に入れることができた。その額なんと約95000円…。勿体なさすぎて泣ける。もうあんまり考えるとほんとに泣けてくるので僕はNYの事を考えた。
しかし、サウジアラビアのお札のおっさんがめっちゃにくそい!畜生め!


ようやくトランジット・ラウンジに帰るとそこにアブドラがいた。ボスが「お前なにやってんだ!」と怒るのだがアブドラは僕は僕の仕事してましたよ!的な言い訳をしている。
そのあとアブドラは僕に例のニコッとした笑顔を向けたが、僕は奴に思いっきり白けた視線を向けてやった。


トランジット・ラウンジには同じようにトランジット状態でNY行きを逃したスーダン人のおっちゃんがいた。

僕らはそろって、囚人のように係員に付き添われながら、自分たちの荷物がNY行きの飛行機から降ろされているかどうか確かめにいった。


続く