踊る髭の冒険

30歳を目前に仕事をやめて旅に出たナッカーサーが世界中放浪した果てにイギリスの大学院に留学するのかどうか、という毎日を綴るブログ。可能性迷子の毎日をお届けします。

キルギス⑥〜コクボル!〜

9月30日

朝起きると筋肉痛で動けなかった。
Davidとフリュも動くたびにウアアーッと唸り声をあげている。背筋と足の周りが物凄く筋肉痛。

とりあえず、ここでもう一泊することに決めた僕たちは、『コクボル』というスポーツを見学させてもらうことになっていた。

コクボルはキルギスの伝統競技で日本人には想像もつかない内容だ。
馬に乗って「羊」をボールとして奪い合う、僕のコクボルに対する前情報はそれだけだった。

「2000ソムで羊一匹買えるから、そらだけ払ってくれればコクボルやって見せてあげるぜ。で!そのあとその羊食おう」と宿の若い主人ヌルランは言った。

3人で割れば大した値段ではない。
昼から始まる競技を待っているあいだ、僕らはバックギャモンで遊んだ。

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ぼくはバックギャモンをするのは初めてだったので、フリュとDavidに教えてもらった。ボードゲームは苦手な方で、なかなか好きになれないのだけどこれはなかなか楽しかった。

中東由来のゲームだとか。サイコロの運の要素も強いけど、頭を使う要素がぼちぼちでそんなにしんどくない。


色々話をしているとDavidはカポエラの経験者だった。カポエラは奴隷が編み出し始めた格闘技だと言われているが、流派によって色々なものがあり、雰囲気や動きも流派によってかなり違うらしい。


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kyzar村の外れにある競技場に車で送ってもらった。お父さんのタガルトはDavidのドレッドに興味津々で、どうやって編むのかとしきりに聞いていた。

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コクボルのフィールドは草原。
タイヤを積んで作ったゴールが二つ、コート(っていうか草原)の端っこに二つある。

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僕らがいったころには四人くらい集まっていて、皆馬の手入れをしていたりアップ(?)がてら声を出しながら馬に乗って駆けて、「イヤァァァォァァオオー!」と叫びながら黒い羊をゴールにぶち込んでいた。

コクボルは4対4で行われる。人数が集まるまでぼくらは草原にちょこんと座って待った。日よけもなにもないので超眩しい。

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だんだん人が集まってきて羊を奪い合う練習をしたりし始めた。宿の主人のヌルランは本当にナイスプレーヤーで、華麗に馬を操って他の馬を撒き、羊をゴールに投げ入れる。

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この羊、頭と前足を落とされているんだけど、持たせてもらうとものっすごく思い。なんと30kgくらいあるらしい。これを馬上で片手で持ち上げて奪いあったりしてるんだから、キルギス人は信じられないくらいパワフルでタフだ。ちなみにぼくは片手では持ち上げられなかった。


競技が始まると、まず草原の中央に羊がおかれて、それを全員一斉に奪い合うところから試合が始まる。

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馬上での羊の奪い合いも、馬同士の肉弾戦もなかなかの迫力。
というか本当に身体の一部みたいに、彼らは馬を操る。これには感動の一言だ。


僕は伝統競技や、チームに受け継がれる精神性みたいなものの事を考えていた。
剣道にしてもカポエラにしにても、コクボルでも、その競技には受け継がれる精神性がある。もっというと、一つのチームの中にはそのチームの中で代々醸されていく精神性があると思う。

例えば僕が、僕の母校の剣道部でなかったら剣道なんて始めていなかったみたいに、そこにいる人やその人たちのもす精神性が好きだから、その競技をはじめるということもある。逆に競技は好きだけど、人が合わないから続けられないということもある。

この村のチームにもそういう精神性があるのかな、と僕はぼんやり考えていた。



「スペインの闘牛はよく批判されるけど、どうだいこの競技は!」
こういうことは世界中にあるんじゃないか、とDavidは言った。
羊を食べるだけこっちのがマシかもなとフリュは言っていた。



小一時間くらいゲームをみて、僕らは家に帰ってきた。

「今日は羊が食えるぞーー!どんなんかなー、串焼きかなー!」
とDavidは興奮していた。僕も、どんな料理がでてくるんだろうと期待していた。


少し眠っていて、「おい、晩飯の準備ができてるぞ」と呼ぶDavidについてリビングにいくとそこにはジャガイモを思いっきり持った料理が用意されていた。

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(^ω^)これイモや。




Davidはこれ見よがしにイモをスプーンでかき分ける。中には、羊の骨についた肉(というか主に脂肪)がちょこっと入っている。




ほとんどイモや(^ω^)





想像していた豪勢な羊の丸焼きを肴に僕らは無言でイモ料理を頬張った。

マジでこんだけ?(・ω・)とDavid.
僕とフリュは「今頃村の皆でパーティーしてるんだろうなー!やられたなー!」と大笑いしていた。

たぶん最初に落とした前足二本くらいしか羊の入ってないイモ料理。
まあ、ここでなかったらコクボルをみれなかったしいいじゃないか!と僕らは笑いあった。


この3人のチームは好きだった。
一人一人が自分の時間を大切にする旅人で、一緒にいても苦じゃなかった。

かなり疲れていたのでこの日は早く床に就いた。明日朝8時のマルシュートカでビシュケクに帰る。


僕はなんとなく寝付けなくて、これからの旅程を考えたりしていた。

あと半年なんてすぐだ。

たくさんの国を見るよりもできれば一つの所に長くいてみたいな、とそんなことを考えていた。