踊る髭の冒険

30歳を目前に仕事をやめて旅に出たナッカーサーが世界中放浪した果てにイギリスの大学院に留学するのかどうか、という毎日を綴るブログ。可能性迷子の毎日をお届けします。

キルギス④〜Kizarの村へ〜

9月28日

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「どうする?コチュコル行く?」

僕はBikaが振舞ってくれた朝食を、食べながらフリュに聞いた。
フリュは同じホステルの奇妙な男がbikaと2人になったら危ないんじゃないかと、山にいくかどうか迷っていたようだが、最終的に行くことに決めた。

大きな鞄はこの宿におかせてもらって、少ない荷物でいけるように荷造りをした。

ホステルを去りぎわにBikaに「あのおじさんには気をつけて」と念をおし、僕らはビシュケクを離れた。


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バスターミナルまでマルシュートカという市内交通に乗ったのだけど、これはなかなかれ乗るのが難しそうだ。ロシア語が話せるフリュがいるからのれるものの、そうでなければ行き先も降りるところもわからない。料金は20ソム(40円)と格安なのだが、中は15人程度しか座れず、たっていると窓から外が見えなくて自分がいまどの辺りにいるか知るのも難しい。

キルギス人のおばちゃんたちは強気で、空いた席に座っていると無理やり「どきな」と僕を立たせてすわる。なかなか根性座ってると思う。

驚きなのはスペイン人のフリュは旅の途中にロシアに一ヶ月いて、キルギスで一ヶ月ほど過ごすうちにかなりロシア語が話せるようになっていることだ。彼は僕が教えた日本語の数字も一発で覚えられる。
なんというか語学のセンスがあるっていうのはこういうことなんだろうか。


バスターミナルからは乗り合いバスに乗る。例の如くタクシーの運転手達がかけよってくる。乗り合いバスは最初300ソムと言われたけれど値切ると250になった。これはLonly planetに書かれていた価格と同じなのだけど、実際人が集まったときに地元の人が払っているのは150くらいだった。

ほんと俺そういうの嫌なんだよね、とフリュはあまり気分が良くなさそうだったけど、インドや中国に比べたらぼったくり方はだいぶマシかと思う。(そういう問題じゃないんだろうけど)

結局45分くらい人が集まるまでまった。面白かったのは乗り合いタクシーやバンの乗客をドライバーが集めるとき、中国なら行き先の地名を「チェンドウチェンドウチェンドウ」と連呼しながら歩き回るのだけなのだけど、ここでは拡声器やマイクがあって「コチュコルいくよーー!」と叫ぶところだった。


乗り合いバンは走り始めると草原の道を走り、荒野を抜けて行った。二時間くらいいったあたりであたりの山の頂上付近に雪が被っているのが見えてきた。これはトレッキングも寒いだろうなあ、と僕らは顔を見合わせた。

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コチュコルの街に着くと雨が降っていた。フリュはここでスペイン人の友達と合流するといって、なんとかWifiのあるところを探した。
ツーリストインフォメーション、と書かれたところに立ち寄ってもおばちゃんたちは英語が話せないし、なんの情報も得られない。なんの為のツーリストインフォメーションなのか!と僕らは突っ込んだけれど、歩いていたらinternet wifiの看板を見つけた。

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1時間40ソムでネットを使わせてもらって、フリュの友達に連絡をとる。どうやらその友達ももうこの街についているみたいで、僕が荷物の番をして、フリュが友達を探しにいった。

30分もしない間にフリュは友達を連れて帰ってきた。立派なドレッドの少し中東系の匂いがする顔立ちの笑顔が素敵な男でDavidだと彼は名乗った。


僕らは目的のソン・コルという池まで近くの村から馬で向かう為、Kyzartという村までなんとか今日中にたどり着きたかった。
タクシーの運転手に交渉するも、2000から始めまってどんなに交渉しても1300以下にはならなかった。

1時間くらい色んな人と交渉して(これはもう完全にDavidの忍耐力の賜物だけど)ぼくらはKyzartの、ちかくのチャイエクという町までいく乗り合いマルシュートカがあることを突き止めた。

もう誰が本当の事をいっているのかわからなかったが、とりあえず僕らは道路の脇でヒッチハイクをトライしながら、くるかもわからないマルシュートカを待った。
その間タクシーの運転手達はずっと隣にいて「マルシュートカなんかこないよ。チャイエク行きはない。」というのだがDavidは断固それを信じなかった。

ぼくとフリュは正直もうタクシーで100ソムを値切ろうがなんだろうがどっちでもよくて、来るかもわからないマルシュートカを待つよりもうタクシーでいこうぜ、という雰囲気だったのだけど、Davidは「絶対こいつら嘘ついてるし、嘘ついてるやつらにお金を払うのはいやだ!」と譲らなかった。

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「みろ!チャイエク行きのマルシュートカが来た!」とDavidが叫ぶと、「なにっ!きたか!」とタクシーの運転者はびっくりして振り向く。かまをかけるのに成功したDavidは、そらみろ!やっぱりくるんだろ!と大笑いしていた。

実際その5分後くらいにマルシュートカは来た!
「ほらみろーー!来たじゃねえかーー!この嘘つきめ!」Davidはガハハと笑いながらタクシーの運転手の背中をバシバシ叩いた。
タクシーの運転手はむむっと顔をしかめながらも「1人300でどうだ!?」とここに来てやっと値段を下げにきていた。


マルシュートカは満員だったが200ソムという値段で2時間ほどの道をいった。車内は穏やかな雰囲気で、日本人かー!そのヒゲはなんだ!と地元のひとたちに僕は絡まれていた。

車内でDavidと話した。
彼は28歳、仕事を辞めて2年くらい旅をするつもりでいるらしい。企業でのコーチングの仕事をしていたが旅をしたあとは違うキャリアを積みたいらしい。イギリスで学部時代の四年間を勉強していたとかで英語がうまかった。

だんだんとマルシュートカは山に向かい、辺りは雪景色になってきた。

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「あそこがKyzartだよ」と教えてくれたおばちゃんのいうとおりのところで降りる。チャイエクというところから歩いて30分程でKyzartの村に出るみたいだ。

おりてすぐに連なる高い山々が目に入ったときには、思わず声がでるほど感動した。

Kyzartの村にはその辺にいたにいちゃんたちが少し払えば車で連れてってくれた。村自体は何もないような素朴な村だったが辺りの景色は素晴らしい。

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ゲストハウスをやっている家まで連れてってもらって、交渉して宿代を安くした。食べ物はコチュコルの街で3日分程(たぶん足らないだろうと思ったが)買い込んでいたので食事はつけなかった。

コチュコルで出会った他の旅行者が、ホーストレッキング食事とガイド付き2泊3日でかなり高い値段を払っていたが、ここで聞く限りでは半分以下の値段でいけた。

本当はソン・コルのほとりで一泊したかったのだけど、その辺りにはテントもユルトも何もないらしく、寝袋がない(ビシュケクに置いてきてしまった)ぼくとフリュは、宿の主人に「何も無しで寝たら、ほんと死ぬよ!」と言われて僕ら3人は1日だけのホーストレッキングをすることにした。

宿の主人は23歳と若いが結婚していて子どももひとりいる。
羊が顔に当たって顔が変形したとかと語っていて、なんのことかと思っていたら彼はどうやらキルギスの伝統競技「コクボル」をするようだった。


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それは面白いなーー!見てみたい!
と僕らがはしゃいでいると主人は2000ソムで羊が一匹買えるから、もし羊をら買うならコクボルをやって見せてやるよ!といってくれた。

ホーストレッキングから帰ってきた次の日くらいにそれができればいいなー!と僕らは楽しみができて嬉しかった。

夜は買ってきた食料からパンやチーズを、つまんでDavidがもっている小さなコンロでお湯を沸かしてインスタントの麺を食べた。

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スペイン人はパスタは食べるが
普段インスタントヌードルを全く食べないらしく、作り方もあまりしらないし、味にもなれていないみたいだった。
これは面白い文化の違いだなと僕は思った。スープに入ってる麺なんて、どこの国にもあると僕は思い込んでいたからだ。

「いやー、しかしここまで来れてよかった!」と今日の1日を振り返った。Davidの忍耐強さは本当に尊敬に値すると思った。僕は二時間粘って交渉したりするくらいなら、ちょっと高くてもお金払ってしまうから。

「何年旅をしても、この世界の全部を見ることなんてできないよなあ。俺の親父がいってた、全部見る必要なんてないから、必ず帰って来いって」
Davidはそんなことを話した。
僕らは3人とも長期旅行者なので共通してそんなことを考えていた。

実際一年間で世界を見て回る、それを世界一周と呼ぶこと自体がナンセンスだ。世界は広くて深すぎる、僕は最近、その大きさを実感して、「足るを知る」ということの本当の意味に自分が触れ始めている気がする。それは自分の限界や天井を知るということではなく、僕らは僕らが想像できないくらい大きくなものに包まれていて、到底その全てを知ることなんてできないと実感することなんじゃないだろうか。


宿のベットはすごく快適で暖く、快適に僕らは休むことができた。

明日馬に乗るのが本当に楽しみだ。