踊る髭の冒険

30歳を目前に仕事をやめて旅に出た髭の人が世界中放浪した果てに結局海外大学院留学せずに帰国→家族でベトナム ハノイ移住→その後ドイツで大学院卒業→現在はカンボジアでのらくら。

歯の詰め物がとれたり。すれ違いだらけの日。

8月26日

この日、朝一番の患者さんが兵隊さんだった。

右上の歯が痛んで頭までいたいというので来院されたのだが9月の頭までしかラダックにおらずそこから先はアッサム地方に赴任するとのことだった。

兵隊さんを治療するのは始めてだったが気のいいおじさんででっかい体でもやっぱり注射は怖いみたいで。。

ラダックは中国やパキスタンとの国境が近いためインド軍が常に駐在している。

その為街中でも空港でも軍人をみることがすごく多い。決して治安が悪いというわけではなく、野犬が多いくらいであとは平和な街である。

兵隊さんの右上の奥歯は思いっきり深い穴があいていて、確実に神経までいってしまっている様子だった。

とりあえず麻酔をして、いまの痛みをとる。で、今の状態とどういう治療をするかを説明する。患者さんが納得したうえで治療をする。

英語で治療の説明するとなっても、日本と同じことがやれている自分が少し嬉しかった。(めっちゃ必死やけど)

神経の治療が必要だが、ここの設備で細かい神経の治療をするのはためらわれたこと、待っている患者さんもいて時間も限られていることで、とりあえず痛みをとる薬を今日は詰めることに。

5年間の日本の診療で身体に染み付いた「丁寧に説明する」というスタイルはすごく評価してもらえて、

「軍隊にも歯医者はいるんだが、いつも適当にあしらわれてしまってな。あんたみたいにちゃんと説明して、話を聞いてもらったのは始めてだよ。本当に感謝する。ありがとう。」といってもらえた。

人間はどこにいても同じで、患者さんは話を聞いて欲しいものなんだな。
「いたってシンプルですよ」という職場の院長の口癖が聞こえたようだった。

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昨晩、フロスを通しているとなんと自分のゴールドインレー(金の歯のつめもの)がとれた(°_°)のでJackにつけてとお願いする。

「えー、インレーとか俺初めてやで。。。イギリスではインレーなんかもうほとんどやらへんさかいな…。」

なんともうイギリスの学生さんたちの中では金属の鋳造してつくる詰め物なんて過去のものとなっているようだ(°_°)

「お前が有名になったら、『初めてインレー触ったのは日本人の歯医者のやつだった』と語ってくれ」といってつけてもらう。

セメントはなんか適当なやつ。この際くっつけばなんでもよろしい。


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電源がおちたり、オートクレーブ(器具を滅菌する機械)が使えなかったりトラブルはおったものの、この日の診療は穏やかだった。



診療後、日本人がラダックに作ったというシャンティ・ストゥーパという寺にいく。

ラダック人現地スタッフのTundupと一緒にいく約束をしていて「じゃあ5時に現地で」といい合わせていた。

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1人でラダックを歩くのは何気に初めて!
ということでうきうきしながら山の上にある白い寺を目指す!
標高が高く、日差しが強いのでサングラスは必須やで!

途中道を聞きながら、30分くらい歩く!

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小さな店で水とお菓子を買う。ここらの子供たちは必ずといっていいくらい買い食いしちゃうんだよね。絶対これ虫歯の原因だわ。なんか歯に優しくてやすくて美味しくて、っていうお菓子をここで売ったらええんちゃうやろか。

この辺りで売っているお菓子にはかならずベジタリアンマークがついている。緑の◯ならベジタリアンも食べられるやつ。赤の◯はベジタリアンダメなやつらしい。

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めっちゃ日本語で「シャンティ・ストゥーパ」と書かれた入口。ここから丘を登る。

見晴らしはすごくいい。
インド人観光客が多い。

5時。Tundupが来ない。しばらく入口でまつ。とりあえずぶらぶらする。

太鼓の音が聞こえたので寺院のほうにいくと、読経する僧侶の周りでいかにもスピリチュアルな人々が瞑想していた。

瞑想自体はあれなんだけど、いかにもな感じのスピリチュアルな人々はちょっと苦手なので遠目で見守るくらいの距離でいた。

ここは新しいので、昨日の僧院のような重い雰囲気はない。建物自体は綺麗だけど。

ここを訪ねたかった理由は他にあって、日本人の僧侶の方がここにいると聞いたていたからだ。

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なんでここで修行しているのかとか聞いてみたかった。そんでもし可能なら質問してみたいことがたくさんあったのだ。

「執着を捨てるったってどうすりゃいいんですか?」とか。もういろんなもんに執着しまくりな自分はその欲望の深さからいつか自分の身を滅ぼすと心配しているのだ。。。

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この度の途中で様々な執着とうまく付き合う方法を探って行きたい的な。そういう思いがあったりなかったり。

まてどくらせどTundupがこないので1人でとりあえず訪ねてみた。

「すみません、日本人の僧侶がここにいると聞いたんですが…」

「あ、彼はいまデリーに行ってます。」

おおーー。
会えないかー。そうかー。
すれ違い恋煩いかー。


会えないものは仕方ないのでとりあえず僕はTundupを待った。が、やはり彼女は現れず。僕はひとり山をおりて街へむかった。

街へ向かう途中、道を尋ねながら向かったのだが「あっちあっち!」と言われる道がどれやねん!というくらい狭い。

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しかも小川が流れてるでもよくよくみてるとそこから人があるいてくるのであってるらしい(°_°)

家と家の間をすり抜けながら中心街へ

29日にはデリーに行くので宿を抑えておきたいこともあり、wifiの使えるカフェかレストランを探した。

事前にJackにwifiが早いところを聞いていてたぶんここかなーというところを見つけて入った。ものすごくwifiが早いわけではないけど連絡はとれる速さだった。

デリーのホステルを予約!
なかなかよさそうな宿がとれて安心した。ラダックが平和すぎて、デリーの喧騒に入っていくのをびびっていたので、よさそうな宿がとれたのは救いだった。

しばらくネットを使って、20時くらいに家に帰った。


帰るなりLamoが第一声

「髭!どこにいってたの!Tがここで待ってたよ!」


( ゚д゚) おっ!?

どうやら俺の勘違いで5時に家にだったのかー!!

申し訳ないことをしたー!

というわけですれ違いだらけの1日でした。