踊る髭の冒険

30歳を目前に仕事をやめて旅に出たナッカーサーが世界中放浪した果てにイギリスの大学院に留学するのかどうか、という毎日を綴るブログ。可能性迷子の毎日をお届けします。

メータオ・クリニック⑥

5月1日

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スタッフのみんなが問診をとったり、治療をしたりしているのが大分と見慣れた風景になってきた。

いまだに診断に戸惑うことはあるし、乳歯の残根とか「いくらなんでもそれは抜かなくてもいいんじゃないか?」と思うこともあるが、とりあえずはここの診断を優先することにしている。

患者さんが「抜歯してほしい」といって来ているところに言葉も通じない短期間しかいないDrが来て、現地の人とまったく違う診断をするのは中々難しい。患者さんの理解がえられないのではないかと思うからだ。

僕はいつも思うのだけど、「医療行為は、それぞれの医院の中で文化になっていくことがある」と思う。

例を挙げると、日本の歯科医院ならそれぞれの歯科医院が「よし」とする治療は、細かいところまで見ると歯科医院ごとに違っている。
(もちろん、少なくとも日本の歯科医は科学的根拠に基づいて診察しようと努力はしていると信じたいが)
それは各院長の診断に寄ることが多いと思うが、そういう「違い」はやがて医院ごとのシステムに取り込まれ、文化と化していく。

毎日の仕事はどうしてもルーティンワークになりがちなので、人は患者さんをパターンにはめ込み、いつしかシステムの中で処理しようとしていくのだ。
限られた時間の中で、効率良く行う為にもそれは必然なのかもしれない。

「医療行為の文化」が各所によって違うことの良し悪しはわからないが、そういったものが1度システムに組み込まれるとなかなかそれを変えるのは難しくなってくると思う。その組織をひっぱる人がよっぽど「変えよう」と思わなければなかなか変えられない「文化」になってしまう。

メータオ・クリニックにもそういう空気みたいな「文化」があって、それを変えれるほどの影響を与えられるほどの滞在時間も、力も僕にはない。

ただ、「これはこの方がいいんじゃないかな」とか「これはどう思う」とかいいながら肩を並べて一緒に診療することしかできない。

しかしまあ、いまはそれでいいかなとも思う。

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こどもが怖がって泣いてしまうことはやはりここでもあって、むしろ日本の歯科医院よりも(一般かできるほど色々働いたわけじゃないが)恐怖心は強いのではないかと思う。

疑問なのは、どこかで「歯医者いたい」という前情報があるから怖いのか「何されるかわからない」から怖いのか、だ。

フィリピンの離島診療をしているときよりもこどもが泣いたりすることが多かったような。メータオの患者さんはどこかで前情報がある。「歯医者は痛い」という先入観があるような気がする。
浸麻を使う機会が少ないことに起因しているのかもしれない。昔の日本の診療もこうだったのか。

でも子どもの恐怖心ってちゃんと雰囲気作るだけでだいぶ無くすことができるんだけどな。日本の医院でやっていたようなバルーンアートを作ってあげたりする試みをこういう場所でも応用できないだろうか。

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メータオ・クリニックのプログラムマネージャーでもあるノニエは、タイのチェンマイの歯学部を卒業している。

「学位はとれるけど、ライセンスはとれないのよね。私はタイ人じゃないから。この病院では関係ないんだけどね。卒業後2年、ここで働くっていう契約にサインをして奨学金をもらったんだけど、もう8年もここにいるわ」

ノニエは英語も堪能だ。
エカルに、この病院の役職に着くための基準を書いてある書類をみせてもらったことがあって、そのなかでも「英語で会議に参加できること」というのがあった。海外からの支援、予算のやりとりをするのには必須のスキルなのだろう。

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歯科スタッフのモーチャン。
すごくシャイ。カレン族出身。

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シャン族の2人。
モーチャンとはスカートの柄が違う。

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シャン族も細かくわけると色々な部族に分かれるみたいで、「これ全部シャン族よ」とナンソンモーは言っていた。
見にいきたいなー(´Д` )ミャンマー人美人が多いと思うのは俺だけか…。

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時間が経つのは早いもので今日でボランティアはおしまい。みんなからカレン族の伝統衣裳を頂きました!本当に嬉しかった。4日間しかいられなかったけど、何か少しでも役に立てただろうか。

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僕のように短期間でボランティアをする旅行者は、「何かを変える」ことは難しい。その分全力で「知ろう」と思った。

「ボランティア」という行為を通じて人々と近い距離にいられること、彼らの物語に触れることができることが、僕にとっては大きな財産になる。

メータオ・クリニックの皆さんには本当に感謝です。ありがとう。


最後の診療中に昨日の日本料理会で一緒だった台湾人の小児科医のジェインが来てくれて
「私も今日最後だから、今晩皆でご飯食べにいくんだけどいく?」
と誘ってくれた。

夜、また僕はジェインと宿の前で待ち合わせをしてジャングル・レストランというレストランに向かった。